菅義偉官房長官は9月19日午前の記者会見で、日本人拉致被害者らの再調査について、「北朝鮮側から『調査は全体で1年程度を目標としており、現在はまだ初期段階にある。現時点でこの段階を超えた説明を行うことはできない』と連絡が来た」と明らかにした。
このため、拉致被害者の家族を始め、北朝鮮との間で交渉を進めている外務省関係者や、多くの国民を落胆、失望させている。そればかりか、「北朝鮮は初回報告の時期を『夏の終わりから秋の初め』と言ってきたのに」と裏切られた気分に包まれている。
だが、思い起こせば、日朝両政府は5月にスウェーデンで開いた政府間協議で日本人拉致被害者らの再調査について合意していたので、
安倍晋三政権は5月29日、「北朝鮮が日本人拉致被害者らの再調査を約束した」と発表し、「北朝鮮が特別な権限を付与した調査委員会を立ち上げて調査を開始した段階で、
人的往来や送金、船舶の入港規制などの日本独自の制裁の一部を解除する」とする合意文書を交わしたとしていた。
そのうえで、菅義偉官房長官は5月30日の閣議後の記者会見のなかで、
北朝鮮が約束した拉致被害者や拉致の疑いのある特定失踪者を含む日本人の安否に関する包括的かつ全面的な再調査の期限について
「せいぜい1年以内だ。だらだらやるものではない」「日朝両間の交渉は、日本側が『時間をかけるべきではない』と主張し、北朝鮮側も同意した」などと説明していた。
安倍晋三首相は30日午前、シンガポール訪問に先立ち、首相官邸で記者団からの質問を受けて、「固く閉ざされていた拉致被害者救出の交渉の扉を開くことができた。
これからも北朝鮮が約束を実行するよう強く促していく」と北朝鮮の固いドアをやっとこじ開けるのに成功したとの成果を力説していた。
また、北朝鮮は7月上旬に「特別調査委員会」を立ち上げ、調査を始め、「進捗状況を随時日本側に報告する」とし、初回の報告時期について当初、日朝両政府で「夏の終わりから秋の初め」との認識で一致していたという。
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