第3次佐藤内閣の1971年、日米間で結ばれた沖縄返還協定に際し、
「アメリカが地権者に支払う土地現状復旧費用400万ドル(時価で約12億円)を日本政府がアメリカに秘密裏に支払う」密約が存在するとの情報を、
検察側の主張に拠れば西山は女性事務官に酒を飲ませて泥酔させた上で半ば強制的に肉体関係を結び、その関係を基に外務省極秘電文のコピーを盗み出させ、これを得た。
これは蔵相福田赳夫と米財務長官デヴィッド・M・ケネディとの会談内容であった。
表向きの返還交渉は外相愛知揆一と米国務長官ウィリアム・ピアース・ロジャーズ(英語版)が行ったが、細かい金のやりとりは福田とケネディが交渉に当たった。
人目を避けるため、福田とケネディはバージニア州のフェアフィールドパークにある密談のための施設で交渉した。
その結果、日本は米国の施設引き渡し費用、および終戦直後の対日経済援助への謝意として、3000万ドルを支払った。西山が知るところとなった400万ドルはその一部であった。
1972年、日本社会党の横路孝弘と楢崎弥之助は西山が提供した外務省極秘電文のコピーを手に国会で追及した。
この事実は大きな反響を呼び、世論は日本政府を強く批判した。
政府は外務省極秘電文コピーが本物であることを認めた上で密約を否定し、一方で情報源がどこかを内密に突き止めた。
首相佐藤は西山と女性事務官の不倫関係を掴むと、「ガーンと一発やってやるか」(3月29日)と一転して強気に出た。
西山と女性事務官は外務省の機密文書を漏らしたとして、4月4日に国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕、起訴された。
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