いわゆる陵戸ね。 
 五色の賤を定めた養老律令から被差別階層に落とされたと言われる。 
 古墳が仏教寺院に転換されると寺院の周辺にも被差別の群れが発生する。 
 さらに近世武家社会になると城の周りに皮革を扱う被差別の群れ。 
 近世発生説、中世発生説、古代発生説はそのどれかを起源ポイントとしてしまい、あまり信用がならない。 
 古墳時代にはなかったのだろうか? 
 たぶん、土蜘蛛とか蝦夷とか佐伯、隼人、土着先住民が被差別対象だっただろう。 
 支配者は基本、あまり差別はしない。ただし、移動させたり、使役したりする。 
 ただ、日本の場合には奴隷というほどのものがうまく育たない。 
 奴婢も唐に倣って拵えてみたけれど長くは存続しない。   
 ここからは私見であるが、用務を担わせて職分をなし、役と職を一体として管理するが時代に合わせて役目は変る。 
 時代が変るとその後、民衆同士の間で心理的に職能差別が発生する。 
 こういう時代に融通を利かせて糧を得る人々が民衆の上澄みをなすが、目に見えて数世代でころころ変るわけではない。 
 だが、変るときには変るのを見過ごされてもいなかったのではあるまいか。 
 伝統的な重みをつけた古い由緒書などを手にして権益を守る木地師、杣師などの職人層などは、安定してしまって差別もされない。 
 移らないもの、職能を変えないものと、変るものとの間に違和がおこり、差別の形をとる。 
 だから、移動移転した後に差別が生まれる感じにもなる。 
 解放したり、特別な保護法制を敷いた後に差別が強化されるという皮肉な結果になる。
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