>>37 あり得ない。そもそも小栗は軍人ではない。江戸時代が生んだ最も優秀な
財務官僚。ある面では優秀な外交官でもあったが。フランスの軍事顧問が
小栗に説いた(小栗以外の幕閣にも説いたが)必勝法は机上の空論。その
内容は、箱根の峻嶮で敵の進撃を防ぎ、幕府海軍で長駆薩長の本拠地を突
く、或いは東海道を上って来る官軍の横っ腹を攻撃するというものだが、
当時の幕府の戦艦運用能力に鑑みるに、そのような事が本当に出来たかど
うか、大いに疑問。実際、江戸を脱走して函館に走った海軍は、戦闘を開
始する以前に事故で何隻かの船舶を失っている。
仮に作戦がある程度の成功を収めていたとしたら、日本は朝廷を担ぐ西日本
政府と、将軍を首領とする東日本政府の内戦状態に陥いったはずだ。そうな
れば、戦いは朝廷を担ぐ薩長を支援するイギリスと、幕府を支援するフラン
スの代理戦争の様相を呈しただろう。その結果、どちらが勝っても英仏に大
きな借りが出来、下手をすれば借金のカタに国土の一部を列強に差し出すと
いう最悪の事態も起こり得た。事実小栗は、北海道を抵当にフランスから借
金をすることを計画していた(これはフランス側の都合で合意に至らなかっ
たが)。結果的に慶喜が戦意喪失したことで、日本が列強の植民地になる危
機が遠のいた。
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