土偶は身代わりだね。
怪我や病気や出産に先立って身代わりとして作っておき、いざその時になったら壊して「死を肩代わり」させるもの。
特に女の場合は、一人の死がそのあと生むべき子供の命(の可能性)をも絶ってしまう事から重要視されたのだろう。
造形や作る手間から考えて、重要な意義が付与されていた道具であることはほぼ確実だろう。
その意味で言えば、「日常的に神様に祈る道具」というよりも、命に直結した切実な願いの時に使われたものであろうと推察する。
中空の土偶が多い事に着目すると、恐らく当人の血を入れたのではないだろうか。
たとえば想像すると、女子が初潮を迎えた時にその当人を模した(顔の特徴をデフォルメした)土偶を作り、初潮の血を入れる。
それにより土偶はそのモデルとなった女性そのものとして扱われるようになる。
やがて妊娠した時、出産を目前に控えて土偶を壊す。
土偶が死を代行してくれたから、母体も子も大丈夫、安心して出産しなさい・・・と安心感を与えるのではないか。
男の場合はどのタイミングか。
恐らく少年時代を脱し、狩りや他集団との闘争に駆り出される前だろう。
魏志倭人伝によると古代では入れ墨などの習慣があったというから、大人になるために体に傷を作る儀式があったのだろうと推察する。
その血を土偶に入れる事により、当人そのものとして扱われる。
土偶の多くは女性の特徴を持っているというから、男の場合は族長などのような重要人物以外作られなかったのかもしれない。
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